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福島県

 福島大学は25日、共生システム理工学類の川崎興太教授がカラ出張などの不正を繰り返していたとして、出勤停止9カ月の懲戒処分にしたと発表した。川崎氏は街づくりが専門で、原発事故で被災した地域の復興に関する研究者として知られる。

 処分は24日付。記者会見した佐野孝治副学長らによると、川崎教授は2017年4月から23年4月にかけ、19件のカラ出張(計37万6740円)と、出席した学会から旅費を支給されながら大学からも旅費を受け取る「二重請求」1件(2万900円)で約40万円を不正に受け取っていた。

 大学は23年9月以降、出張時に現地写真の添付などを義務づけたが、それ以前は出張報告書の提出で済ましていたため、見逃されていた。川崎氏は学会やシンポジウムに参加する目的で旅費を受け取りながら、実際には参加していないこともあったという。

 川崎氏は大学からの聴取に当初は「多忙による精神上の混乱が招いた手続き上の瑕疵(かし)」と説明したが、不正期間が長期で受給額も少額とは言えず、自身の生活費の支出に使う個人口座で出張費も管理していたことなどから、大学は全額を「私的流用」と認定した。川崎氏は最終的には「深く反省している」と大学に謝罪し、全額を返還する手続きを進めているという。

 学内では昨年、行政政策学類の准教授(当時)によるカラ出張が発覚したため、出張費が多い教員を対象に内部監査し、今回の不正が見つかった。44件のカラ出張で約100万円を不正に得ていた准教授は諭旨解雇処分だった。これに対し、川崎氏を出勤停止とした判断について、大学は「(処分内容に)批判もあると思うが、甘い処分ではない」と説明した。

 川崎氏は復興関係の著書も多く、原発被災地の自治体などとも連携して実態調査に取り組んできた。佐野副学長らは「停職と同じ扱いなので、処分期間中は大学教授としての活動は制限を受ける。(受け持っている学生や外部団体などに)迷惑をかけることになるが、代替教員を充てるなどして支障がないようにしたい」と話した。

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