岩屋毅外相は28日、フィリピンのマナロ外相と東京都内で会談し、南シナ海で活発化する中国の軍事活動を念頭に、外務当局による次官級戦略対話や、防衛当局なども交えた海洋協議を年内に開くことで一致した。締結に向けた話し合いが進む安全保障関連の協定についても進捗(しんちょく)を確認した。
岩屋氏は会談冒頭、二国間関係を「まさに同盟に近いパートナーだ」と強調した。マナロ氏も「日本をはじめとする同志国、パートナーと緊密な関係を持っていきたい」と応じた。
両外相による会談は岩屋氏がフィリピンを訪問した1月以来。4月下旬には石破茂首相が同国を訪問するなど、活発な往来が続いている。
早期締結の方針を確認している軍事情報の共有を円滑にするための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については、4月の首脳会談以降に議論を開始。自衛隊と比軍の間で物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)も交渉入りした。会談で両外相はこうした動きを評価し、安全保障・防衛協力の基盤の更なる強化に向けて議論した。
フィリピンは南シナ海で、岩礁の領有権をめぐって中国と対立しており、中国は大型巡視船だけでなく軍用機も使って圧力をかけている。両外相は日比の協力を深めるとともに、米国や豪州といった同盟・同志国を交えた連携の重要性も確認した。