日中韓の政府は3カ国による首脳会談(サミット)を5月下旬に韓国で開く方向で調整に入った。複数の日韓政府関係者が明らかにした。実現すれば2019年12月以来、およそ4年半ぶりとなる。
サミットについて林芳正官房長官は5日の記者会見で「早期開催に向け調整を行う」と述べた。日中韓は昨年11月の外相会談で「なるべく早期で適切な時期」のサミット開催を確認。人的交流や経済協力、平和・安全保障など6分野で協力を進めることで一致していた。サミットには岸田文雄首相と李強(リーチアン)首相、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出席予定で、実現すれば二国間会談も行われる見通し。従来は歴史認識問題をめぐり日本と中韓の対立構図が目立ったが、今回は接近する日韓と中国との間に溝を抱える中での対話となる。
日中韓サミットは08年、国際会議に合わせるのではなく独立した形で初開催。3カ国の回り持ちで定期的に開いてきたが、コロナ禍や戦時中の徴用工問題による日韓関係の悪化などにより、19年の第8回以降は途絶えていた。
5月20日には台湾で民進党の頼清徳(ライチントー)・新総統の就任式がある。中国は頼氏を「台湾独立派」とみなして警戒しており、新政権の動きを踏まえて日韓との外交にも臨みたい考えとみられる。日本外務省幹部は「実際にサミットを開催できるかは中国次第。ギリギリまで分からない」としている。(高橋杏璃)