Smiley face

帝京前監督・前田三夫さんの目

(29日、第107回全国高校野球選手権東東京大会決勝 日大三8―4東海大菅生)

 両チームの監督は、相当に神経をすり減らしたと思います。東海大菅生の若林監督は、打者としても活躍していた2番手投手・藤平をベンチに温存。両監督とも前半戦のピンチに申告敬遠を指示し、さらに日大三の三木監督は七回、八回に1死から犠打をさせました。

 夏の決勝で、これだけ僅差(きんさ)の勝負になれば、選手は熱くなる。監督の冷静な判断が求められます。

 両校、制球力のある投手を擁し、つなぐ打線が特徴。試合前は正直どっちが勝つか分かりませんでした。

 序盤、東海大菅生が今大会初めて失点し、これまでと違った空気になりました。そこを取り返したのは、さすが。ますますどう転ぶか分からなくなりました。

 日大三のエース近藤は、自身の失策などで逆転されても崩れませんでした。気持ちをコントロールできていて、最後まで甘い球がありませんでした。

 一方、東海大菅生は五回の守りで、三塁に飛んだゴロのイレギュラーが不運でした。その後、ピンチが広がったところで、3番打者への直球が高めに浮きました。2点適時二塁打を浴びました。

 打線は終盤に飛球が続きました。今大会初めての追う展開に、焦りもあったことでしょう。八回に2点を奪われ、勝負ありとなりました。

 近年は継投が普通ですが、西の日大三と東の関東第一は、ともに投手が決勝で完投。大黒柱を中心にまとまった学校が制しました。これもまた魅力ある優勝。ただ、両校の甲子園での躍進は、2人目以降の投手が鍵になると思います。

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