健康への影響が懸念される有機フッ素化合物(総称PFAS(ピーファス))。日本では来年から水道水や飲用水の規制が強化される見込みだが、いまだわからないことも多い。リスクをどう考え、今後どう対応していったらいいのか。海外での規制・対応の現状と比較して、その「現在地」を探った。
2024年度、水道水のPFASに関する調査結果や管理強化の方向性が相次いで示された。
これまでも、水道水では代表的なPFASのPFOA、PFOSの合計で1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)という「暫定目標値」があった。この値が設定されたのは20年。「体重50キログラムの人が水を一生涯にわたって毎日2リットル飲み続けても、この濃度以下であれば健康に悪影響が生じないと考えられる水準」をもとにした。
あくまで管理の目安で検査などは任意、法的な義務づけはなかった。国が公表した、20~24年度分の全国の水道水に関する調査結果では、検査が行われていないケースがあった。小規模の事業者を中心に「義務ではない」「費用がかかる」といった理由が多かった。
複数の「暫定目標値」超え地点
一方で、同調査では、岡山県吉備中央町や沖縄県金武(きん)町、岐阜県各務原(かかみがはら)市などで、暫定目標値超えを確認。専用水道でも自衛隊基地を中心に、複数の超過地点があった。
暫定目標値には、一定の濃度を超えた地点があるなど、水質基準への見直し要件がある。PFASは要件に該当した。
そのため、政府は暫定目標値…