ロシアによるウクライナ侵攻後、日本の大学や日本語学校がウクライナ人の若者を受け入れる動きが広がった。約3年たち、先行きが不透明ななか、避難民として来日した学生の中には、日本での就職を模索する人もいる。大学側や支援団体も手探りでサポートを続けている。

就職活動の情報提供のほかにもウクライナ人やシリア人の学生らが交流するひとときが設けられた=3月17日、東京都文京区、上野創撮影

 文部科学省によると、大学がウクライナから、学生・院生・研究者や職員として受け入れたのは計348人(2023年11月時点)、法務省告示校の日本語学校による受け入れは264人(同8月時点)。

 日本の大学などに通うウクライナ人学生の多くは、祖国で紛争が長引くなか、進路に悩む。受け入れた大学側も迷いながら対応してきた。

 難民や避難民を支援する公益財団法人「パスウェイズ・ジャパン」が受け入れを支援してきた計123人のうち、日本で就職したのは18人、就活中が9人。14人は本国や第三国へ移動した。残りの多くは在学中という。

 龍谷大(京都市)の大学院で研究するイーヤ・チェリデゼさん(23)はウクライナの国立大を卒業した後の22年秋に来日。留学だけのつもりだったが、戦況が落ち着かず、同大で共に学んだウクライナ人が観光業の会社に就職した影響もあって日本での就活を考えるようになった。「日本の会社は髪の毛の色や服装などのルールが厳しく、敬語も難しいけれど、絶対に就職できると信じています」と話す。

 22年から5人を受け入れた国際基督教大学(東京)では、同窓会のネットワークでグローバル人材に関心のある企業を紹介し、後押しする。大学院に進んだ女子学生(24)は3月、衛生・健康用品関連の企業から内定を得た。

 「日本の就活は難しかったけれど、大学の同窓生の紹介があり、ウクライナにもオフィスがある会社と出会えて良かった。面接ではマーケティングを学んだことも伝えることができた。4月から大阪で働くのは不安もあるけれど楽しみ」と話す。

 日本国際基督教大学財団の担当者は「卒業後に職を探す海外と異なり、日本の就活は3年生から動く必要がある。先の状況が分からないなか、学生の心境を考えると悩ましいけれど、準備だけはしていこうと伝えてサポートしています」と語る。

 当初10人を受け入れた上智…

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