戦前から戦後にかけて、日本と台湾の為政者にほんろうされた台湾の画家、陳澄波(チェンチェンポー)(1895~1947)の生誕130年を記念する展覧会が3日、台湾・台北市で始まる。開幕前日の式典には、陳とゆかりのある日台の関係者が集った。
日本の台湾統治が始まった年に台湾・嘉義市で生まれた陳は、東京美術学校(現在の東京芸術大学)で学び、台湾出身の画家では初めて当時の「帝展」に入選した。
展覧会で展示される作品の一つが、陳の油絵「東台湾臨海道路」(縦69.5センチ、横130.5センチ)。防府市出身で台湾総督を務めた上山満之進(1869~1938)が離任する際、陳に制作を依頼した作品だ。上山が建設に関与した道路や先住民が描かれ、額縁は離島の先住民の船の装飾が利用されている。
この絵は防府市が所蔵し、山口市の県立美術館に寄託されている。孫で「陳澄波文化基金会」の陳立栢(チェンリーボー)会長(71)からの申し出を受け、今回の展覧会に合わせて防府市が貸し出しを決めた。
展覧会は、黒潮、北回帰線、季節風という台湾の風土に影響を与える三つの要素を個別テーマとし、作品を展示する。
台北市内で開かれた2日の式典で、立栢さんは三つの要素が祖父の絵に描かれていると紹介。「台湾を幸せな場所にしている要素をテーマにしました」と語った。防府市の池田豊市長は取材に「黒潮のテーマの代表作に『東台湾臨海道路』が選ばれたことに感動している」と述べた。
式典には、台湾の李遠(リユ…