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サントリーホールディングス会長 新浪剛史(にいなみ・たけし) 1959年生まれ。米ハーバード大経営大学院修了。三菱商事入社後、ローソン社長や会長を経て、2014年10月からサントリーホールディングス社長、25年3月から現職。23年4月から経済同友会代表幹事=東京都千代田区

 「日本の社会にも、MAGA(米国を再び偉大に、の意味。米国第一主義)と主張を同じくするところがある。社会の分断を進めてはいけない」。そう語るのは、サントリーホールディングスの新浪剛史会長だ。経済同友会の代表幹事でもある新浪氏の持論とは。

 ――日本は値上げラッシュで、消費者心理が押し下げられていませんか。

 「食品の値段が勢いよく上がっています。その一方、食品ロス(残渣(ざんさ))もすごい量です。食べられるのに捨てられる食品が多く、消費者は廃棄分のコストも払っています。サステイナビリティーを意識した消費行動をとる必要があります」

 ――景況感はどうみていますか。

 「足踏み状態です。日米関税交渉が合意に至らず、先行き不透明感が増し、消費者心理も悪化しています」

 ――個人消費の低迷、一進一退の景況感。日本経済はこれらの繰り返しのような気がします。

 「日本はこれまで30年、ほとんど規制緩和をしてきませんでした。スイスの国際経営開発研究所(IMD)によると、日本の競争力は35位で、過去の栄光はなくなりました。いかに経済を復活させるか。2040年にGDP(国内総生産)1千兆円を達成するには、日本国内で投資を誘引していくことです。日本の企業が何百兆円と持っている余剰資金(内部留保)を国内投資に振り向け、年2%の経済成長を達成しなければいけません」

 ――ですが、現状は賃上げ機…

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