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現場へ! 老いたデカセギ日系人(6)

 日本にいる日系ブラジル人が高齢化している。バブル期の人手不足を補うため、「デカセギ」で来日して30年あまり。長年日本で働いてきた彼ら彼女らの「終活」の現状と課題を、移民問題に詳しい武蔵大学のアンジェロ・イシ教授(日本移民学会会長)に聞いた。

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 日本は、人手不足で外国人を受け入れているのに、「終活」を支える議論はありません。働き盛りの20~30代だけ、安い労働者として来てもらい、数年たったら帰ってほしい、というのは都合が良すぎます。

 7月の参議院選の時期に、移民や在日外国人全般に対する差別発言が飛び交ったことからも、国民のある種の本音が垣間見られます。

 在日の日系ブラジル人の9割以上は、非正規雇用です。正社員であれば、人生設計ができます。お金を蓄え、高齢者向け施設に入ったり、墓などを準備したりすることもできます。

社会のマージナルな存在のまま

 でも、社会のマージナル(周縁的)な存在のまま、簡単に解雇され、捨てられているのが現状です。特に2008年のリーマン・ショック後、マイホームを売ったり、諦めてブラジルに帰ったりした人たちが多くいました。

 外国人を雇っているのは、大…

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