中高生に広い裾野を持つ日本の吹奏楽文化を伝え、音楽を通した国際交流を深めよう――。そんな取り組みが日本とマレーシアの若い世代の間で始まった。高温多湿の地域では楽器の手入れも大変で、管弦楽が広くは浸透していないが、刺激を受け合って意欲を高めている。
- 吹奏楽部にも地域移行の波、コンクールは新時代へ 浮かんできた課題
首都クアラルンプールから海を隔てたボルネオ島北部。約70万人が住むサラワク州クチン市に、愛工大名電高校(愛知)吹奏楽部の演奏が響いたのは、9月下旬のことだった。
両国の若者が吹奏楽で交流する4日間のイベントが終わった後、州議会近くの広場で開かれたコンサート。観客が360度囲む大盛況で、子どもの音楽体験などに携わる現地のNGO「ザ・バンド・ラボ」代表のジェスモンド・シュウさん(30)は「素晴らしい音のコントロールと、音楽解釈の深さに感動した。マレーシアでは見ることのできないレベル」と驚いた。
イベントの企画の中核を担ったのは、東京外国語大4年の山本佳奈さん(24)。日本語の指導助手として、今年1月まで約1年間、サラワク州に滞在していた。高校時代は吹奏楽部で、現地の吹奏楽を楽しむ同世代と知り合った。
ただ、この地域に吹奏楽は広くは浸透しておらず、一部の学校やキリスト教会にバンドがあるくらい。指導者も少なく、高温多湿の楽器が劣化しやすい気候の中で、手入れがされていない楽器を吹いている人もいた。
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部活動も盛んな日本の吹奏楽…