日本では「平和教育」の名の下に、戦争の残酷さや悲惨さを学び、教えてきました。でも私たちは学校で、「平和のつくり方」について学んできたでしょうか。
中学校や高校で教員を務め、「平和のために何をすればいいのか」を考える教育に携わってきた野島大輔さんに聞きました。
平和教育の主軸だった情緒的アプローチ
中学、高校の教員として平和教育に携わりました。現在は、平和の実践を考えるワークショップでファシリテーターをしています。
戦後の日本の平和教育は、広島・長崎の被爆や沖縄の地上戦から教訓を学び、記憶を継承することなどに主軸が置かれてきました。例えば学校では、夏休みの平和登校日に戦争体験者の方々の話を聞いたり、平和を啓発する戦争に関する映画を見たりすることが定番でした。
これらは情緒面からのアプローチです。戦争の残酷さや悲惨さを見聞きすることで、戦争を憎み平和を愛する心を育てるという目標がある。日本の子どもは他国と比べ平和志向が強いという研究があるように、この学習は成果を残してきました。戦争を経験した世代が減っていくなかでその継承は課題ですが、今後も絶対に続けなくてはならない取り組みです。
一方で、日本の平和教育は、情緒や感性に集中しすぎたという点も指摘されます。過去の戦争の原因を分析し、いま戦争を防いで平和を構築するにはどうしたらいいかを学ぶといった社会科学的な手法による取り組みが弱かった。
紛争の具体的な解決法を学ぶ
背景の一つには、平和教育と…