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 地球温暖化の対策は待ったなし。でも、それに必要なお金は誰が出すのか――。11日からアゼルバイジャンで始まる国連気候変動会議(COP29)では、途上国への資金支援が最大の争点の一つになりそうだ。各国の結束に直結するテーマだが、交渉の先行きは不透明。トランプ前大統領が当選を確実にした米大統領選の結果も影響しそうだ。

 「交渉の中で私たちは、(先進国が)誠意をもって行動しようとしているのか疑問を抱いている。責任をどう果たすのか」

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昨年の国連気候変動会議(COP28)で「(化石燃料の)フェーズアウトを実現できるかに島国の存続がかかっている」と語るツバル代表(左から2人目)=2023年12月、ドバイ

 ツバルやバヌアツといった太平洋の島国などでつくるグループ「AOSIS」の交渉担当、ミカイ・ロバートソン氏は10月末、メディア主催の会見で語気を強めた。こうした島国では、温室効果ガスの排出はわずかにもかかわらず、すでに温暖化に伴う海面上昇の影響を受け、災害にも見舞われている。COP29に向け、議題の資金について事前交渉を続けているが難航している。

 途上国への支援「気候資金」は気候変動対策の国際ルール「パリ協定」に規定されている。災害に脆弱(ぜいじゃく)で、エネルギーの脱炭素化に必要な設備投資資金も不足しがちな途上国を助けるためのものだ。

 途上国も資金提供を前提とした温室効果ガスの削減目標をまとめている。パリ協定が掲げる、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標達成には、気候資金が不可欠だ。日本も途上国援助(ODA)などを気候資金に含めた上で、年間100億ドル(約1.5兆円)以上を出している。

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中米エルサルバドルで国際協力機構(JICA)が実施した気候変動リスク管理のための公共インフラ強化事業=JICA提供

新目標の論点は「量と質」

 この気候資金の額などの目標…

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