連載「HANABI」第9部 海外へ向かう大曲(2)
米ラスベガスの名門ホテル「シーザーズ・パレス」。2月、米国花火協会(APA)の総会に、全米の花火関係者が一堂に会した。
その中に、秋田県大仙市の「響屋大曲煙火(ひびきやおおまがりえんか)」社長の斎藤健太郎(45)の姿があった。
響屋は昨春に米国の花火会社「ロッツィ」と契約し、進出の足がかりをつかんだ。響屋の花火を全米に販売するプランを立てるロッツィが、現地のバイヤーに引き合わせようと招待した。
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米国は世界最大の花火消費国。斎藤は海外展開の「本丸」と位置づけ、商談に期待するが、「一抹の不安がある」と漏らした。
渡米の1カ月前、「米国第一主義」を掲げるドナルド・トランプが大統領に返り咲いていた。
ロッツィからは、第1次トランプ政権時に高関税をかける動きがあり、花火も含まれていたと聞かされていた。
米国は、大半の花火を中国製に頼っている。当時、業界はロビー活動を展開し、なんとか回避したという。
総会は、トランプの話題一色だった。
「省内の動きを探る」
斎藤が「今回はどんな影響が…