観光客で混み合う清水坂=京都市東山区

 訪日外国人客(インバウンド)が増えるなか、飲食店で利用客がサービスに対する謝礼として、「チップ」を渡そうとするケースが増えている。日本では根づいていない習慣なだけに店側は困惑しているが、受け入れる仕組みをつくって対応する店もでてきた。

 全国に20店舗余りを展開する和食チェーン店は昨年2月から、会計をするレジの横に「チップボックス」をほぼ全店に設置した。従業員が外国人客などからチップを渡されることが増え、取り扱いに困った従業員から相談を受けたのを機に、運営会社が導入を決めた。

 各店舗ごとに、1カ月あたり数万円の現金がボックスに投入されているという。担当者は「チップ文化のない日本では店員も戸惑う。店が混んで忙しい時は個々に対応することも難しく、解決策としてボックスを置いた」と話す。集まったチップは会計上は会社の雑費収入として計上し、店舗ごとの福利厚生に充てているという。

 ところが、導入後にチップボックスを見かけた客からは、「日本でチップ制度は導入してほしくない」などと批判的な意見が店側に寄せられた。SNS上でも話題になった。「店員がもらったものを、店が横取りするのか」という声もあった。

成田空港周辺の飲食店ですしを楽しむ訪日外国人ら=成田国際空港会社提供

 立命館大大学院の石崎祥之教…

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