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月面に降り立つ着陸船のイメージ=ispace提供

 日本の宇宙企業ispace(アイスペース)が6日未明、日本の民間企業として初となる月面着陸に挑む。豊富な資源が眠る月への「探査ラッシュ」が、各国の競い合いで起きている中、「月への宅配便」サービスを確立できるか。月面に衝突した2年前の失敗から、再挑戦となる。

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 ispaceによると、着陸船「レジリエンス」は6日午前3時15分ごろ、月の上空約100キロの周回軌道を離脱し、降下を始める。約1時間後、月面「氷の海」の中央近くに着陸する計画だ。

 開発統括の日達佳嗣さんは「ここまでは完璧な運用ができていて、確実に前回の経験が生かされている。このまま最後まで一つ一つのミッションを丁寧に進めていく」と話す。

ロシアでさえ失敗、中国は4連続成功

 探査機による月着陸の歴史は、60年以上前にさかのぼる。

 世界で初めて月面に到達したのは1959年、旧ソ連の無人探査機「ルナ2号」だった。地球以外の天体に初めて到達した人工物となったが、この時は月面に衝突。月への軟着陸に初めて成功したのは、66年のルナ9号だった。

 冷戦下にあった米国も同じ年、サーベイヤー1号が着陸した。その3年後、アポロ11号で有人着陸にも成功。アポロ17号までで計6回着陸し、計12人が月面を歩いた。

 両国だけで20回近く着陸しているが、50年以上たった今でも、月着陸は至難の業だ。

 今世紀の月着陸の結果を調べると、成功率は60%。中国、イスラエル、インド、日本、ロシア、米国の計15の探査機が試みたが、成功したのは中国(4機)とインド(1機)、米国(3機)、日本(1機)の計9機。宇宙大国ロシアでさえ、約半世紀ぶりの月探査機「ルナ25号」が2023年、失敗した。

 注目すべきは、4回挑戦し、着陸成功率100%を誇る中国だ。

 19年には、通信などの面で着陸の難度が高い「月の裏側」に世界で初めて着陸した。さらに20年には、米国のアポロ計画、旧ソ連のルナ計画以来、44年ぶりに月の土を地球に持ち帰ることに成功した。

 24年には、月の裏側で採取した岩石も地球に持ち帰った。将来の月面有人着陸も視野に入れ、「宇宙強国」の存在感を見せている。

 世界的に見ると、ここ最近は、24年に月着陸した日本の探査機「SLIM」以降、5回連続で着陸に成功している。

天体着陸で最難関の「月」

 ただ、天体への着陸は、小惑星、火星、月の順で難しくなるとされる。難敵は、月の重力だ。

 探査機は重力に引っ張られ…

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