最高裁判所の裁判官を3月21日に定年で退いた草野耕一氏(70)が、朝日新聞のインタビューに応じ、今後の司法について「日本は優れた司法機能を生かした『司法立国』を目指すべきだ」と提言した。その意味とは。
――最高裁の裁判官に2019年に就任した時の心境は
とても緊張感があり、身の引き締まる思いでした。毎朝、最高裁に向かう車の中ではモーツァルトのレクイエムを流して、厳かな気持ちになるようにしていました。
――最高裁判事として関わった裁判は
3月に定年退官するまで、9千件以上の事件の審理に関わりました。
「個別意見」で示したかった思い
――個別意見を付さない裁判官もいる中で、判決文で自身の見解を示す「個別意見」も多く書いた
私が書いた個別意見は約6年間で25件。どの意見にも共通した思いがあったように感じます。私は、良い判決は、国民に希望を与えるものであるべきだと考えてきました。判決が示した法解釈に従えば、いまよりも良い社会がつくれるはずだ、という希望です。
しかし、判決は結論に至る法…