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 中国の江蘇省蘇州市で昨年6月に日本人学校の送迎バスが刃物を持った男に襲われた事件で、日本人の母子をかばおうとして亡くなったバス案内係の胡友平さん(当時54)が21日、「勇気を持って正しい行いをした英雄」として表彰された。多くの中国メディアが伝え、胡さんをたたえている。

 表彰は、社会正義の意識向上などを目的に党中央や政府の関係部門が開いてきた。今回は3年ぶりで、「英雄」には胡さんの他、ダムに落ちた市民を救い、22歳で亡くなった武装警察の隊員など計12人を選んだ。

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 中国メディアは12人の中でも胡さんの名前を見出しにとるなど大きく取り上げ、国営通信の中国新聞社は事件当時の報道を引き、胡さんが男を引っぱり、後ろから制止しようとして刺されたと伝えた。

 蘇州市は事件直後に胡さんに「模範」の称号を授与した他、「友平」の名を冠した基金を創設するなど、身を挺(てい)して子どもを守った勇気をたたえる動きが相次いだ。

 この事件で今年4月までに死刑を執行された男の犯行動機をめぐっては、1月の判決は「借金苦」としたが、日本人を狙ったかどうかの言及はなかった。中国と関わる日本人にとって関心の高いこの論点は、胡さんをたたえる言説に覆われて見えにくくなっている。

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