演説するバルチスタン解放軍(BLA)の司令官(中央)。周りの兵士のほとんどは米軍が使う自動小銃M16を持っている=2023年9月に発表されたBLAの宣伝映像から

 工場地帯を貫く片側3車線の直線道路。この先で日本人の車列を狙った自爆テロが起きたという。

 現場へ向かう私の車のスピードメーターは、時速80キロを指している。犯人はオートバイに乗っていたというが、これだけ速い車をどうやって狙ったのだろう。

 パキスタン南部のカラチ。人口2千万人を超す同国最大の都市だ。4月19日朝、市の中心部から郊外の輸出加工区にある工場へ向かう通勤途中の日本人駐在員5人が乗る車列が標的になった。

 私はパキスタンに計6年半駐在したことがある。確かにテロは多いが、日本人は恨まれておらず、標的になりそうな危険な場所に近づかなければ安全だと考えていた。なぜ今回、日本人が狙われたのか。何が起きたのか。真相を追って7月、私は現地を訪れていた。

パキスタン当局の捜査の結果、南西部に拠点を置く武装組織の関与が浮上しました。この組織を背後で支えているのは誰なのか。武器はどこから入手しているのか。パキスタンに広がる深い闇に迫ります。

 突然、私の車は減速し、ガタ…

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