日本学術会議は23日、政府が進める法人化などの組織改編の議論について「懸念」を示す声明を発表した。学術会議側の求める独立性や自律性などについて、懸念が解消されないまま政府側の議論が進んでいると指摘。光石衛会長は会見で「学術会議側として譲れない点で、改めて懸念をお示しした」と述べた。
声明は、同日まで開かれた定期総会での意見をまとめた。組織改編をめぐっては昨年12月、政府が法人化に向けた基本方針を決定した。こうした動きに対し、学術会議側は、活動や会員選考の独立性に懸念が生じると反発。しかし政府は方針を堅持したまま今月15日に有識者作業部会を設けるなど、議論を進めている。このため今回の学術会議の総会でも、懸念をより強く表明するよう求める声が相次いでいた。
政府は法人化に向けた法整備を来年以降に想定しており、光石会長は「議論の大枠が決まるまでは3カ月程度だろう」との見方を示した。その上で「学術の発展と国民や世界に資する検討になるよう、政府に建設的な協議を求める」と話した。(竹野内崇宏)