日本学術会議の法人化をめぐり、政府は通常国会への提出を目指す新法案で、学術会議が持つ政府への「勧告権」を新法人にも残す方針を固めた。政府関係者が明らかにした。勧告権の維持を強く求める学術会議に政府が配慮した形だ。
学術会議の勧告権は、科学的な根拠に基づき科学の振興や技術の発達に関する方策などについて政府に勧告することができる権限で、現行の日本学術会議法に規定されている。勧告に法的拘束力はないが、政府方針と異なる意見や懸念を伝える手段でもあり、学術会議の存在意義の一つとなってきた。過去には、国による公文書保管を求める勧告(1959年)が国立公文書館の設立につながったほか、南極観測や地震研究などの政策にも影響を与えてきた。
一方、2011~22年は勧…