2025年1月20日、パブリックビューイングが行われていた米ワシントンのスポーツアリーナに足を運んだトランプ大統領(中央)とファーストレディーのメラニア氏=ロイター

 「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」の実現を最優先に他国にディール(取引)を仕掛けるトランプ米大統領の復活で、同盟国・日本にも厳しい要求が突きつけられる可能性がある。予測不能な4年間が幕をあけ、日本政府内では緊張感が高まっている。

 「我々はあらゆる国の羨望(せんぼう)の的となり、これ以上、他国に利用されることは許さない」

 トランプ氏は就任演説の冒頭、力を込めた。「私はとても単純に、米国を第一に考える」

 トランプ氏は長年、同盟国を含む他国から米国の富は奪われてきたと固く信じている経済ナショナリストとしての側面をもつ。今回のトランプ氏の就任演説も、米国の利益を最重視する「米国第一主義」を実現するため、他国に対し厳しく対応をする姿勢を改めて国内外に示したものといえる。日本の外務省幹部は米政府の対日要求についても「トランプ政権では大変なことになる恐れがある」と危機感を隠さない。

  • 【連載】トランプ再来 備える日本と世界

 20日の就任式直前まで、現地の日本政府関係者は、トランプ氏からどのようなメッセージが発せられるのか、米側からの情報収集をギリギリまで続けた。その後、20日のトランプ氏の大統領就任式や集会での演説には「日本」に直接言及した政策は盛り込まれず、政府関係者はとりあえず胸をなで下ろした。

最も警戒する「関税強化」

 日本政府はトランプ氏が大統…

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