大阪・関西万博で打ち上げられた「大曲の花火」=2025年6月28日午後7時53分、大阪市此花区、室矢英樹撮影

 「人生で一度は見たい花火」――。

 日本最高峰の「大曲の花火」(秋田県大仙市)が28日夜、大阪・関西万博の夜空を飾った。「火薬は戦争ではなく平和のために」。花火師たちはメッセージを込め、世界に発信した。

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 大曲の花火は日本一の花火師を決める頂上決戦と位置づけられ、2028年に第100回記念大会を迎える。8月30日開催の第97回大会はネット販売で最高額6万円の観覧席が1分で完売。「チケットの入手がもっとも困難な大会」とされる。

 打ち上げたのは、地元業者の小松煙火工業、北日本花火興業、和火屋、響屋大曲煙火でつくる「大曲の花火協同組合」。17人の花火師がトラック2台とワゴン車2台に分乗し、12時間余かけて会場に駆けつけた。

 大曲の花火師が一堂に会し、関西で披露するのは史上初めてのことだ。前評判を聞き、大観衆が会場を埋め尽くした。

 28日午後7時45分過ぎ、狼煙(のろし)に続き、5分間に至高の約1千発を惜しみなく披露した。

 第96回大会で内閣総理大臣賞に輝いた小松忠信さん(61)は、東京タワーの高さにまで上昇する最高難度の菊型花火「昇銀龍五重芯(ごえしん)変化菊」で観客の度肝を抜いた。

 花火界10人目の「現代の名工」今野義和さん(61)は放射線状に光が広がる十八番の「八方咲」で魅了した。「色彩の魔術師」と呼ばれる大阪芸術大出身の久米川和行さん(51)は発色が難しい超絶技巧の「パステル千輪菊」で驚かせた。

 斎藤健太郎さん(45)は海外で注目を集める多色変化の「グラデーション」で観客の目を奪った。

 組合代表理事の小松さんは「世界中から来日したお客さまに大曲の花火の芸術性、迫力を体感してもらう良い機会になった。次は、ぜひ、本場・大曲に足を運んでいただきたい」と話した。

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