米国のグラミー賞のような権威ある音楽賞を目指し、日本レコード協会など5団体が新たに立ち上げた国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」の授賞式が、21日午後2時から京都市のロームシアター京都で開かれた。この日は62部門のうち、40部門について発表。Mrs.GREEN APPLEやCreepy Nuts、新しい学校のリーダーズ、藤井風さん、YOASOBI、宇多田ヒカルさんら、いまのJポップを代表するミュージシャンたちも受賞した。中でもCreepy Nutsは七つの賞に輝いた。
最初に発表された「最優秀ジャパニーズソングアーティスト賞」にはMrs.GREEN APPLEが選ばれた。登壇したメンバーの大森元貴さんは「このような賞をいただけること、大変うれしく思います。曲作りが僕は好きなので、これからも僕ら自身が楽しんでお届けできる楽曲を制作していけたらいいなと思います」と述べた。
最優秀国内ロックアーティスト賞には「King Gnu」が輝いた。King Gnuは「SPECIALZ」で最優秀国内ロック楽曲賞も受賞した。
最優秀国内ダンスポップアーティスト賞には「新しい学校のリーダーズ」が選ばれた。登壇したSUZUKAさんは「踊るということは原始的な、ある種コミュニケーションだなと思っておりまして、言葉にできないニュアンスや感情を踊りにのせて表現する気持ちよさはたまらないものがあります。踊りを通してファンのみんなや世界中のみんなと一体感を生み、少しでも楽しい時間が増えるといいなと思います」と語った。「新しい学校のリーダーズ」は最優秀ダンスパフォーマンス賞にも選ばれた。
最優秀国内R&B/コンテンポラリーアーティスト賞は宇多田ヒカルさんが受賞した。宇多田さんは「Automatic」で最優秀国内R&B/コンテンポラリー楽曲賞にも輝いた。
最優秀国内シンガーソングライター賞は藤井風さん。
最優秀国内オルタナティブアーティスト賞には羊文学が選ばれた。登壇したメンバーの塩塚モエカさんは「素敵な賞をいただいてありがとうございます。自分の内側に内側に入って曲を作っていくことをやってきた。聞いてくださっている方がいること、とても励みになります。これからも素敵な曲をたくさん作っていきたい」。羊文学の「more than words」は最優秀国内オルタナティブ楽曲賞に選ばれた。
海外楽曲を対象とした部門では、最優秀海外ポップス楽曲賞にROSE&ブルーノ・マーズ「APT.」、最優秀海外ロック楽曲賞にコールドプレイ「feelslikeimfallinginlove」、最優秀海外ヒップホップ/ラップ楽曲賞にケンドリック・ラマー「Not Like Us」、最優秀海外R&B/コンテンポラリー楽曲賞にアリアナ・グランデさんの「we can’t be friends(wait for your love)」、最優秀海外オルタナティブ楽曲賞にビリー・アイリッシュさんの「BIRDS OF A FEATHER」が選ばれた。最優秀K-Pop楽曲賞はNewJeans「Ditto」が受賞した。
最優秀国内リバイバル楽曲賞は大滝詠一さんの「ペパーミント・ブルー」、最優秀クロスボーダー・コラボレーション楽曲賞には藤井風さん/A.G.Cookさんの「Feelin’ Go(o)d」が選ばれた。
最優秀インストゥルメンタル楽曲賞はNujabesさんの「aruarian dance」、最優秀ボーカロイドカルチャー楽曲賞は黒うさPさんの「千本桜」、最優秀ミュージックビデオ賞はYOASOBIの「アイドル」が受賞した。同曲は最優秀アニメ楽曲賞にも選ばれた。
最優秀ジャズアルバム賞には矢野顕子さんと上原ひろみさんの「Step Into Paradise-LIVE IN TOKYO-」、最優秀クラシックアルバム賞には坂本龍一さんの「Opus」が選ばれた。
ラジオ番組の関係者が投票に参加した「ラジオ特別賞」は、離婚伝説の「愛が一層メロウ」。登壇したボーカルの松田歩さんは、「本当にうれしく思います。僕たちふたりが初めて完成させた作品で、離婚伝説の始まりの曲でもあります。僕たちもまだ行けていないような地域の皆様に届いていると思うと、とても感慨深く思います」。
2024年にライブ動員数が最も多かったアーティストを表彰するラージェスト・ライブ・オーディエンス賞には、WEST.が選ばれた。授賞式は欠席したが「今年、デビュー11周年を迎えました。11年間の歩みの中で得た経験を大切にし、これからもともに笑いながら、さらなる高みを目指して進んで参ります」などとするメッセージが代読された。
最優秀国内シンガーソングライター楽曲賞はVaundyさんの「怪獣の花唄」。最優秀アイドルカルチャー楽曲賞はFRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」が受賞した。
世界の各地域でヒットした日本の楽曲をたたえる「Top Japanese Song」は、アジア地域では米津玄師さんの「Lemon」が受賞。ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカの各地域についてはいずれもCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」が選ばれた。同曲は最優秀バイラル楽曲賞、最優秀国内ヒップホップ/ラップ楽曲賞、最優秀国内ダンスポップ楽曲賞、最優秀ジャパニーズソング賞にも輝いた。
Creepy Nutsの2人は計七つのトロフィーを抱え、スピーチ。R-指定さんは「こんなにたくさんの賞をいただいて本当に光栄」。会場で7部門連続でこの曲が流れたことに触れ、「ひょっとしたら、流れてるVTRもうええやろと思った人もいるかもしれませんが、そんくらい聞いていただいたんだろうなと思うと光栄です」とも話した。
MAJは日本の音楽の魅力を国内外に発信し、ミュージシャンの海外進出の後押しをすることなどを目標につくられた。
5団体が立ち上げた一般社団法人「カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会」(CEIPA)が主催。今年は初回だけに、どれだけ盛り上がるのか音楽ファンから注目されている。
関係者は、MAJで評価されたという実績が、日本のミュージシャンが海外で活動するときの「名刺代わり」となることを期待している、と話す。
きょうの授賞式では表彰に先立ち、CEIPAの村松俊亮理事長があいさつ。「全ての音楽を愛する人たちにとって、宝物となりうる新しい祭典が今まさに生まれようとしています。このアワードを通じて、数多くのミュージックラバーズが生まれてくれること、そして日本の才能ある若きアーティストたちが世界に飛び出していく、太い道をつくれると確信しています。今日いらっしゃっている皆様、ご覧になっている皆様は新しい歴史の目撃者です」と話した。
選考では、賞の信頼性を高めるため「透明性」や「公平性」を重視。全62部門のうち多くの部門で、音楽チャートなどをもとに過去1年間でよく聞かれた作品やアーティストを機械的に選んだうえで、国内外のアーティストやクリエイター、音楽評論家、メディア関係者らによる投票を実施した。約5千人に参加を呼びかけたという。
19日には「最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞」を先行発表。山内惠介さんが「紅の蝶」で受賞した。
22日は「Grand Ceremony」と題して主要6部門などを発表する。「最優秀楽曲賞」「最優秀アーティスト賞」「最優秀ニュー・アーティスト賞」「最優秀アルバム賞」「Top Global Hit From Japan」「最優秀アジア楽曲賞」で、国内外でヒットした楽曲やアーティストがノミネートされている。当日はAIさん、Awichさん、Creepy Nuts、ちゃんみなさん、藤井風さん、Mrs.GREEN APPLE、YOASOBI、矢沢永吉さんといった豪華な顔ぶれが会場でパフォーマンスを披露。宇多田ヒカルさんも事前収録で出演するという。
22日の授賞式は午後7時半から。NHKの生中継もある。