日本生命保険から三菱UFJ銀行に出向していた社員が、同行の内部情報を無断で持ち出し、日生の営業部門が営業に利用していたことがわかった。持ち出された資料には保険商品の販売戦略などが記されており、銀行側への「逆流厳禁」という印を付け、管理担当の部署にも共有していた。
不正競争防止法が禁じる「営業秘密の侵害」にあたる恐れがあり、生保業界でこうした不正が判明するのは初めて。
三菱UFJ銀の「社外秘」と認識
日生は朝日新聞の取材に「当社商品の販売推進につなげたいと考え、社外秘の情報と認識しながら内部資料を持ち出した」と説明。「同様の事案の有無を含め、全容解明に向けた調査を進める」とした。他の生保も含め、問題が広がる可能性がある。
銀行は代理店として複数の生保の商品を扱っており、生保各社にとっては重要な販売ルートだ。
複数の関係者によると、三菱UFJ銀に出向していた日生の社員は2024年春、同行の内部情報を無断で持ち出し、日生でメガバンクなどへの営業を担う金融法人部の管理職に送った。
持ち出したのは、同行の行員が保険商品を売った際の24年度の業績評価の体系などで、同行が重視する商品の種類などがわかる。他にも、他生保の商品の改定時期や内容などを同行がまとめた資料も持ち出していた。
「内部資料もあるので逆流厳禁でお願します」
日生の金融法人部は24年4…