日本社会学会が創立100周年を迎えた。国内外で様々な危機が叫ばれる中、新たな役割をどう考えるのか。
関東大震災の翌年、1924年設立。哲学、歴史学、人類学などの動きに遅れること約30年、大正デモクラシー末期に出発した。
現在の会長を務める佐藤嘉倫・京都先端科学大学教授(数理・計量社会学)は「フランス革命と産業革命の後、19世紀前半に生まれた社会学は、大きな社会変化のたびに更新を重ねてきた。欧米の動向を追いかけてきた日本は、国内の状況と二重の意味で変化の影響を受けてきたと思う」と話す。
軍国主義から敗戦を経て戦後しばらくは農村調査など地道な実証研究が続いた。次いで50年代末から60年代の高度成長期にかけては、メディア論や日本社会論、社会意識論が注目された。その後、70年代に女性研究者らのフェミニズム研究が始まり、今日のジェンダー論の視点を開拓する。
90年代は冷戦終結とバブル崩壊、阪神・淡路大震災、オウム真理教事件など国内外の大きな出来事に見舞われた。社会の病理を一望する論客が活躍、「社会学の時代」と呼ばれることも。大衆文化を研究するカルチュラルスタディーズも新風を吹き込んだ。
2000年代に入ると、不平等や格差の実証研究が話題に。そして近年は、大規模統計調査とともに生活者の語りを再現する質的調査が関心を集めている。
現在会員は約3600人。佐藤会長によれば男女比は不明だが、「主観的には女性が活躍している」そうだ。
11月9~10日に京都市の京都産業大学で開かれた学会大会は、70を超す分科会で家族、階層、民族、社会病理、教育、文化、理論など多岐にわたる分野の、硬軟の議論が続いた。
話題のAI(人工知能)も俎…