公立の小中高校などに在籍する日本語指導が必要な児童生徒は、2023年度は計6万9123人で過去最多を更新した。文部科学省が8日、全国調査の結果を公表した。前回の21年度調査から1万816人増え、増加幅も過去最大だった。9年前の3万7095人からは1.8倍に増えており、急増に学校側の支援が追いついていない現状もある。
- 散在する日本語指導が必要な子 「学校に1人」をどう支える?
国籍にかかわらず、日本語が全く話せなかったり読み書きが苦手だったりし、支援が必要と学校が判断した児童生徒の数を調べた。学校種別では、小学校が4万6132人(66.7%)と最多で、中学校1万5967人(23.1%)、高校5573人(8.1%)など。
増加の背景には、少子化などによる人手不足を受け、日本に住む外国人が増えていることがある(昨年末時点で約341万人と過去最多)。
一方、学校による対応は十分とは言えない。学習指導要領ではきめ細かな指導を求めているが、約1割にあたる7069人は、日本語の補習などの支援を受けていなかった。自治体は指導する教員の不足などを理由に挙げている。
日本語指導が必要な高校生の中退率は8.5%と前回から1.8ポイント増。高校生の平均である1.1%を大きく上回った。大学などへの進学率は、高校生平均75.0%に対し46.6%。前回調査から5.2ポイント減った。文科省の担当者は「人数の増加に指導などが追いついていない」としている。
不就学は微増も減少傾向
文科省は8日、小中学校に通う年齢の外国籍の子どもの就学状況も公表した。23年5月時点で8601人が学校に通っていない可能性があるという。ただ、初めて調査した19年度は約2万人で、それ以降は文科省が就学状況を確実に把握し、就学案内を送付するよう求めた結果、減少傾向にある。日本に住む外国籍の子どもの数が、23年度は前年度比約10%増の15万695人に上るなか、学校に通っていない可能性のある外国籍の子どもの23年度の人数は、22年度から418人(5.1%)増にとどまった。文科省の担当者は「一定の取り組みは進んでいる」と話した。