記者会見で謝罪する日本郵便の千田哲也社長=2025年6月17日午後1時2分、東京・大手町、黒田健朗撮影

 運転手への不適切な点呼の横行が発覚した日本郵便は17日、国土交通省から示された一般貨物自動車運送事業の許可取り消し処分について、弁明をせずに受け入れると発表した。千田哲也社長は同日、東京都内で記者会見を開き、「郵便・ゆうパックご利用のみなさまに多大なるご心配とご不安をおかけしましたことを、心よりおわび申し上げます」と謝罪した。

 取り消し処分が科されれば、集配の拠点間の輸送や都市部の大規模局での荷物収集を担う約2500台のトラックやバンが5年間、使えなくなる。同社はこのうち約58%分の輸送を、子会社の日本郵便輸送のほか、ヤマト運輸や佐川急便、西濃運輸などに委託する方針。残りの42%は自社の軽貨物車で代用し、輸送能力を維持するという。

 記者会見では、千田社長と美並義人副社長をともに減給とするなどの処分も発表した。月額報酬の40%を3カ月間減額する。

 点呼問題をめぐっては、同社が4月に全国調査の結果を公表。点呼が必要とされる57万8千件のうち、必要項目を全て実施していなかったのが約12万6千件、記録簿に事実と異なる記載をした「不実記載」は約10万2千件だった。

今後、軽トラの処分も

 日本郵便は軽トラック約3万2千台も保有する。軽貨物は許可制ではなく届け出制のため、今回の許可取り消し処分の対象外だが、軽トラの点呼についても国交省は現在、監査を続けている。「不実記載」は初違反の場合、貨物自動車運送事業法で1件につき車両の使用停止日数が「60日」と処分が重く、同法に基づく「車両使用停止」処分で、軽トラにも一定の影響が出るとみられる。

 同社はバイクなど二輪も約8万3千台保有しており、二輪の点呼の実施状況についても社内調査を続けている。

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