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日本郵便のトラック。国土交通省は同社の一般貨物自動車の事業許可を取り消す方針だ=2025年6月4日、東京都港区、西岡臣撮影

 運転手への不適切な点呼の横行が発覚した日本郵便に対し、国土交通省関東運輸局(横浜市)は25日、貨物自動車運送事業法に基づき、一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す処分を出した。同社は、集配の拠点間の輸送や都市部の大規模局での荷物収集を担う約2500台のトラックやバンが5年間、使えなくなる。

 日本郵便は軽バンなど約3万2千台も保有するが、軽貨物は届け出制で今回の処分の対象外だ。軽バンの点呼についても国交省は監査を続けており、結果がまとまり次第、「車両使用停止」の処分が科されるとみられる。

 国交省は監査による処分に先立ち、現在も走行している車両の安全対策の徹底などを求めて、同法に基づく安全確保命令も25日に出した。7月中に改善策を出すことを求めている。

増田社長「極めて深刻」

 日本郵便の親会社の日本郵政は25日に株主総会を開き、増田寛也社長が「極めて深刻な事態だと受け止めている」と株主に謝罪した。

 日本郵便はこれまでに、一般貨物約2500台のうち約58%分の輸送を子会社の日本郵便輸送のほか、ヤマト運輸や佐川急便、西濃運輸などに委託する方向で調整中と明かしている。残りの42%は自社の軽貨物で代用する方針という。

 日本郵便は処分を受け、「今回の行政処分等を厳粛に受け止め、運送事業者として、確実な点呼の実施をはじめ、運行の安全及び運転者・お客さまの安全を確保する体制構築を徹底し、信頼回復に全力で取り組んでまいります」とのコメントを出した。

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