元タレントの中居正広さんが起こした女性とのトラブルをめぐる一連の対応が問題視されているフジテレビと、その親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は27日、日枝久氏(87)が両社の取締役相談役を退任すると発表した。関係者によると、日枝氏は2017年の会長退任後も社長などの人事を指名するなど影響力を発揮してきた一方、今回の一連の対応には関与していないという。フジサンケイグループ代表も退く意向だという。フジでは辞意を表明していた遠藤龍之介副会長をはじめ16人が、FMHでは10人の取締役が退任する。一連の問題を受け、人事を刷新する狙いがあるとみられる。
フジは23年6月の発生直後にトラブルを把握しながら、中居さんの番組起用を続けるなどの対応を取ってきた。こうした点から同社のガバナンスや企業風土なども問われ、約40年にわたり経営に携わる日枝氏への批判が高まっていた。フジ副会長の遠藤氏は問題発覚後の会見で「全てを日枝が決めているわけではないが、影響力があることは間違いない」と述べ、自身や港浩一社長(当時)、問題発生時の専務だった関西テレビの大多亮社長とともに日枝氏の名を挙げ、「企業風土と言えば、(関係が)あるかもしれない」などと語っている。
日枝氏は、1961年に開局3年目だったフジに入社。視聴率低迷が続いていた80年に42歳で編成局長となると、バラエティーを次々とヒットさせて黄金期を築いた。88年に初の生え抜き社長に。92年にはフジサンケイグループ議長・鹿内宏明氏に対する、いわゆる「クーデター」を主導。オーナー家である鹿内家の影響力を弱めた。2005年には会長として、フジの筆頭株主だったニッポン放送の株式取得をめぐって起きた堀江貴文氏が率いるライブドアとの騒動を収束させた。
一連の問題へのフジとFMHの対応などについて調査をしている第三者委員会は、近く調査報告書を公表する見込み。