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公正取引委員会=東京都千代田区、田中恭太撮影

 自動車部品の製造に使う金型などを下請け業者に無償で保管させたとして、公正取引委員会は18日、日産自動車の完全子会社とトヨタ自動車の系列会社の下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、再発防止を求めて勧告した。

 公取委の発表によると、勧告を受けたのは日産子会社で自動車のエンジンやトランスミッション(変速機)などを製造する「愛知機械工業」(名古屋市)と、トヨタの系列会社で車両用バネなどを製造する「中央発条」(同)。

 愛知機械工業は遅くとも2023年8月から24年末まで、計415の金型などを下請け業者5社に無償で保管させていた。中央発条は遅くとも23年4月から24年10月下旬まで、計608の金型を下請け業者24社に無償で保管させていた。いずれも新たな発注の見込みがない状況だった。

 公取委の調査を受け、愛知機械工業は計約1925万円、中央発条は計約572万円の保管費用をすでに下請け業者に支払ったという。

 製造業では、発注や補修の度に使う金型などを下請け業者に無償で保管させる商慣習が根強く残り、同様の勧告は23年3月以降で11件になる。トヨタの子会社も24年7月、同様の下請法違反で公取委から再発防止勧告を受けた。

 日産を巡っては、自動車部品を製造する計36の下請け業者に総額30億2367万円の減額を求めたとして、公取委が24年3月、下請法違反(減額の禁止)を認定し、再発防止を求める勧告を出した。

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