近年、欧米を中心に「原発回帰」の動きが相次いでいる。二酸化炭素を出さない「脱炭素電源」としての役割や、ロシアなどからの化石燃料に頼る地政学リスクを避けるねらいがある。ただ、新設コストは大きく膨らんでおり、計画通りに進まない可能性もある。
2023年の国連気候変動会議(COP28)では、50年までに世界の原発の発電容量を3倍にするとの宣言が発表された。日米英や韓国、アラブ首長国連邦(UAE)など20カ国以上が賛同し、24年までに31カ国に増えた。
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世界銀行は東京電力福島第一原発事故後の13年に原発への投資を禁止していたが、今年6月に解除した。
また、気候変動対策を重要視しない米トランプ政権も5月、人工知能(AI)のデータセンターなどの電力需要に対応するなどとして、原発の発電容量を50年までに4倍にするとの大統領令に署名した。米ウェスチングハウスは30年までに米国内で10基の大型炉の建設を始める計画だ。
トランプ大統領は7月、米グーグルなどがデータセンターや発電所に920億ドル(約13兆7千億円)を投資すると発表した。
欧州でも、脱原発を見直す動きがある。
イタリアは、チェルノブイリ…