石破茂首相とトランプ大統領

 石破茂首相が訪米し、日本時間8日未明からトランプ米大統領との初の日米首脳会談に臨む。二国間関係のほか、日本周辺の安全保障環境が悪化し、国際秩序が大きくきしみ、トランプ氏の独善的振る舞いも顕在化するなかで、首脳会談はどのような意味を持つのか。会談を占う五つのポイントを挙げてみる。

 1 首脳間の「波長」はいかに

 安倍晋三元首相とトランプ氏との蜜月関係と比べて注目されるのが、石破・トランプ両氏の波長が合うかどうかだ。

 トランプ氏は理念や理想を語るより、相手に従属や忠誠心を求め、相手国に対しても、その価値を目先の「対米貢献度」で測る傾向がある。対する石破氏の話術は、理屈を並べるのが特徴で、相手の機嫌取りは不得手とされる。対米観でも「日本は防衛でも経済でも本当に主権国家と言えるのか」と対米従属を忌み嫌う。

 趣味でも共通点は見いだしにくい。安倍元首相はゴルフを通じてトランプ氏と距離を縮めたが、石破氏は学生時代はゴルフ部だったが、「今はまったくやらない」(側近)。石破氏は酒豪で知られ、防衛庁長官時代、当時の中国の曹剛川国防相とお酒を酌み交わし、率直に意見交換したこともあったが、トランプ氏はお酒は飲まない。

 「話は簡潔に」を心掛けて会談に臨む石破氏だが、タイプの異なる2人がどのように個人的な関係を築けるかが焦点となる。

米国のトランプ大統領=AP

 2 トランプ氏からの要求は

 トランプ氏が2016年の米大統領選で聴衆から喝采を浴びるのに多用したのが、「日本たたき」だった。

 「日本は数百万台の自動車を…

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