日本航空のジャンボ機が1985年に墜落し、乗客・乗員計520人が亡くなった事故は12日、発生から40年となった。遺族らは墜落現場となった「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に向かい、犠牲者の冥福を静かに祈った。
全国から集まった遺族らは朝から標高1500メートル超の尾根を目指して登り始めた。高齢の遺族は杖を使い、斜面にある墓標に花を手向け、手を合わせるなどした。尾根に立つ「昇魂之碑」前では、空の安全を祈る鐘の音が鳴り響いた。
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当時中学2年生だった北海道の小学教員、折田みきさん(53)は、父の村上良平さん(当時43)を事故で亡くした。
父は出張中で、事故から1カ月後、墜落現場から会社の茶封筒が見つかった。「機体が大きく左右にゆれている」「機内よりがんばろうの声がする」。ゆがんだ文字で、「みんな元気でくらして下さい。さようなら」と家族へのメッセージも書かれていた。
事故からしばらくして、担任するクラスの児童の中に、口癖のように「死ね」という子がいた。命の大切さを伝えようと、「先生は『お父さん、大好きだったよ』と伝えたかったんだ」と事故の遺族であることを初めて明かした。
児童の様子が変わり、それ以来、夏休みの前には事故の話をするようになった。
今年も墓標に花を供え、父にこう報告するつもりだ。「みんな元気で暮らしています。私は今も一生懸命、先生の仕事をしているよ」
おじの石倉六郎さん(当時4…