映画祭の打ち合わせをする学生ら=2024年11月21日午後3時12分、東京都練馬区、比嘉展玖撮影

 日本大学芸術学部の学生らが7~13日、「声をあげる」をテーマにした映画祭を開催する。目をそらしていた現実に、正面から向き合いたい――。そんな思いを伝える15本を、東京都渋谷区の「ユーロスペース」で上映する。

 企画、運営するのは映画学科で学ぶゼミの学生ら15人。映画祭は毎年、時代を反映したテーマを設定し、今年で14回目。

 「私たちを含む大半が『自分の問題ではない』と目をそらしていた。現実に向き合わないことへの危機感が企画の出発点になった」。統括代表の溝手連さん(21)は、今回のテーマが決まった背景をこう説明する。

 学生らは4月以降、それぞれ持ち寄ったテーマを元に議論を重ねた。候補には、虐殺に焦点を当てた「殺すな」や、必ず訪れる「『死』をみつめる」などが挙がったが、選ばれたテーマは「声をあげる」だった。「声をあげることを身近に感じられないことこそが問題なのでは」といった意見が出たという。

 担当教員の古賀太教授(映画史)は「『声をあげる』は本来、テーマになりえない『態度』だ。映画祭のテーマとしては型破りで学生らしい」と評価する。

 選んだ上映作品は地域や時代、声をあげた人々の背景などさまざまだ。学生らは約1カ月かけて100本ほどの映画を鑑賞し、ドキュメンタリー9本、劇映画6本の15本に絞り込んだ。作品の題材はジェノサイドや女性、公害病、近年の社会運動などだ。溝手さんは「映画史に残る名作よりも『声をあげる』ことを感じられる映画を選んだ」と話す。

 例えば、「SHE SAID…

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