JR九州が4月、大分で日豊線の特急を乗り継ぐ際に適用してきた、特急料金の「通算特例」を廃止する。このルートでの県内と博多、小倉方面との行き来は大半のケースで値上がりする。インターネットで買える割引切符を使えば安くなるが、ネットに不慣れな高齢者も多く、課題は残る。
JRのルールでは、特急料金は列車ごとに必要だ。日豊線の場合、大分で「にちりん」(宮崎方面)と「ソニック」(博多方面)を乗り継ぐのが一般的で、本来ならそれぞれ特急料金がかかる。だが、通算特例によって1本の列車として計算され、安くなってきた。
同社によると、通算特例ができたのは2003年。「にちりん」の約半分が別府止まりとなったため「激変緩和措置」として導入。その後、「にちりん」の大半が大分止まりになった。
しかし、20年以上が経ったことで「激変緩和の役目は終わった」(同社)として、廃止することにしたという。その結果、自由席特急料金は延岡―博多間が2600円から4千円に、宮崎―博多間が2600円から4600円に値上がりする。
同社は4月、乗車券にあたる運賃も平均約15%値上げするため、日豊線の特急利用者にとってはダブルパンチとなる。読谷山洋司・延岡市長は昨年12月の記者会見で「急激すぎないか」と疑問を述べた。
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4月以降もJRの特急にお得に乗れる方法がある。乗車券と特急券がセットになった「九州ネットきっぷ」だ。主要区間に設定されている。
例えば4月以降、延岡―博多間を「みどりの窓口」で買うと、通算特例の廃止による延岡―大分間、大分―博多間の特急券と、乗車券を合わせて計1万1880円(通常期指定席)。これに対し、ネットきっぷは約44%引きの6620円だ。
ネットきっぷの購入には会員登録が必要で、予約もパソコンやスマホなどに限られる。ただ、切符の発券前なら列車の変更が何度でもできる。支払いは2日前までならコンビニでもできるが、基本はクレジットカードで、乗車前に主な駅の窓口か指定席券売機で発券する必要がある。
県内発着のネットきっぷは、高速バスとの競合を背景に割引率が高い区間も多い。とはいえ、さまざまな制約があるうえ、クレジットカードを持っていなかったり、ネットに不慣れだったりすると購入しにくい。
JR九州は「パソコンやスマホの操作方法や購入方法については専用の問い合わせ電話を設けており、丁寧に対応したい」(広報部)としている。
◆JR九州の運賃・料金問い合わせ先
・3月31日まで(050・3358・3315)
・4月1日以降(0570・04・1717)
・インターネット列車予約案内センター(0570・01・8814)