日豪の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が5日午前、東京都内で開かれた。東シナ海や南シナ海での海洋進出を強める中国を念頭に、日本は「準同盟国」と位置づける豪州との安全保障協力を強化。豪海軍の新型艦導入計画をめぐり、日本の「もがみ」型護衛艦の能力向上型が選定されたことを受け、これを日豪防衛産業の過去最大の協力として「大きなマイルストーン(節目)」と位置付ける方針だ。
日豪2プラス2の開催は昨年9月以来、12回目。日本から岩屋毅外相と中谷元・防衛相、豪州からウォン外相とマールズ副首相兼国防相が参加。中谷氏は会合で「豪州は安全保障防衛協力を強化すべき特別な戦略的パートナーであり、日豪は同志国連携の中核となる」と強調。これに対し、マールズ氏は「非常に高い水準の信頼関係が構築されている」と応じた。
中国が東シナ海や南シナ海での海洋進出を強める中、日豪は安保協力の強化を進めている。豪州政府は8月、豪海軍の新型艦導入計画をめぐって最終候補に残ったドイツの提案をおさえ、三菱重工業の「もがみ」型護衛艦の能力向上型をベースに共同開発する案を採用した。中谷、マールズ両氏は5日午後、海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)で「もがみ」型護衛艦を視察する予定だ。日豪両政府間では、豪駆逐艦が補給・整備の拠点として海上自衛隊横須賀基地を使用することや、豪空軍の無人機試験に航空自衛隊が参加することも協議されるとみられる。
両政府はまた、紛争や災害などの緊急時における第三国からの自国民退避をめぐり、相互に協力する覚書を交わす予定だ。こうした覚書は韓国に続き2例目となる。
日豪両国はインド太平洋地域における米国の重要な同盟国。しかし、米国第一主義を掲げるトランプ米政権のもと、米国の「内向き」志向が強まっていることへの懸念もあり、日豪接近で中国を牽制(けんせい)する狙いもある。