日本製鉄は、政治問題化している米鉄鋼大手USスチールの買収に向け、米国側への働きかけを強めている。大統領選を2カ月後に控える米バイデン政権は、国家安全保障上の懸念を理由に買収を阻止する方針だと報じられたが、日鉄は「打てる手は全部打っていく」(幹部)構えだ。
関係者によると、渡米した日鉄の森高弘副社長は11日、安保上の観点から買収案を審査している対米外国投資委員会(CFIUS)の幹部らと会談。「安保上の懸念はない」とする日鉄の主張を直接伝えたもようだ。
また、日鉄はこの日、買収に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)とのやりとり二十数件を公開した。「日鉄はUSWとの対話を拒んでいる」といった現地報道も出ていたが、日鉄は買収計画を発表した昨年12月以来、USWのデビッド・マッコール会長らとやりとりしてきた記録を示すことで反論。USスチールの製鉄所に13億ドル(約1900億円)を追加投資する計画や、生産や雇用の海外移転はしない方針も改めて強調した。
USWは米鉄鋼労働者らを幅…