米ペンシルベニア州にあるUSスチールのクレアトン工場=2024年12月12日、真海喬生撮影

 日本製鉄による米USスチール買収計画が再び動き始めた。バイデン前大統領が禁止命令を出した計画をめぐり、トランプ大統領が再審査を指示した。どんな意味があり、今後どうなるのか。再審査に至る可能性を1月の取材時に指摘していた渡井理佳子氏に改めて聞いた。慶応大学大学院の教授で、米ニューヨーク州弁護士の資格を持つ経済安全保障の専門家だ。

 ――米政府で外資による米国企業の買収を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)に対し、トランプ氏が再審査を指示しました。

 極めて異例の措置だ。バイデン氏の命令を破棄したわけではなく、トランプ氏は「USスチールは特別な会社であり、日本にもどこにも行ってほしくない」との考え方を崩していない。日鉄は楽観できる状況にないが、計画が承認される可能性が出てきたと受け止めている。何らかの形で認めるつもりがなければ、このような措置をわざわざ取らないのではないか。

 ――トランプ氏は大統領選中に「買収阻止」を繰り返し表明していました。

 確かに反対を公言してきたが…

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