日本銀行は30日~5月1日に開く金融政策決定会合で、追加利上げを見送り、現行の政策金利(0.5%程度)を維持する見通しだ。米国の関税政策で世界経済が減速するリスクが強まったためで、経済成長率や物価見通しも下方修正するとみられる。物価上昇率2%という目標の実現に向け、段階的に利上げを進める姿勢は保つ方針だ。
植田和男総裁は、米国で24日まで開かれた主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議に出席した。その後の会見で「(一時的な変動要因を除いた)基調的な物価上昇率が2%に収束していく見通しが実現していくとすれば、それに応じて金利を引き上げていく」と述べ、従来と同様の考えを示した。その上で「見通しがどう変わっていくかは、予断をもたずに適切に丁寧にデータを見ていきたい」とも発言し、米関税政策の影響を特に注視するとした。
日銀は今回の決定会合で、3カ月に1度見直す「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表し、2027年度までの成長率や物価の見通しを示す。
成長率の下方修正は避けられそうにない。米国の関税政策を受け、米中の貿易摩擦の激化や、日本企業の輸出減が見込まれるためだ。国際通貨基金(IMF)は22日の「世界経済見通し」で、25年の世界の実質経済成長率を2.8%と予測。前回1月の見通しから0.5ポイントも引き下げた。自動車などを米国に輸出する日本は0.5ポイント減の0.6%とほぼ半減した。
世界経済が減速すれば、需要が落ち込み、物価も下振れしやすい。足元の円高や原油安も輸入品の価格の押し下げ要因となる。世界経済の不確実性は極めて高く、日銀は今回の利上げは見送る公算が大きい。
国内経済は堅調との見方
ただ、日銀内では、現時点で…