日本銀行の中川順子審議委員は17日に前橋市で講演し、トランプ米政権の関税政策などで「(経済の先行きの)不透明感が一層高まっている」との認識を示した。一方で、日銀の見通し通りに推移すれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」とも述べた。
中川氏は、利上げ判断の前提となる経済・物価の見通しに、三つのリスクがあるとした。
一つ目として、米国の関税政策と、それに伴う世界経済や金融市場の不確実性の高まりを指摘。関税政策は貿易活動や企業の業績だけでなく、家計にも影響が及び、「我が国の実体経済や物価に影響を及ぼす可能性がある」とした。資源価格や市場の過度な変動で、「経済への下押し圧力がさらに増幅される可能性」もあり、「高い緊張感をもって注視していく必要がある」と述べた。
「久しぶりに大きな困難」
2点目は、人手不足で賃上げ圧力が強まり、上昇分の価格転嫁が想定以上に進む可能性を挙げた。これが確認されれば、利上げを後押しする材料になりそうだ。
一方、三つ目として、関税政策だけでなく、食料品の物価上昇などが「消費者マインド(心理)の悪化」につながる可能性に言及した。
今後の利上げについては、「…