首脳会談を前に韓国の尹錫悦大統領と握手する岸田文雄首相=2024年5月26日午後4時37分、ソウル・大統領府、上田幸一撮影

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するため米ワシントンを訪問中の岸田文雄首相は10日午後(日本時間11日午前)、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談し、意思疎通や連携を強化していくことで一致した。ロシアと北朝鮮が軍事・経済両面で協力を深める中、NATOや米国と連携する重要性も確認した。

 両首脳の会談は5月以来。会談の冒頭、首相は「戦略的な問題意識を土台に、緊密に連携することは意義深い」と日韓が歩み寄る現状を歓迎。尹大統領も「岸田首相と私の堅固な信頼をもとに、両国が協力の成果を積み重ねていることをうれしく思う」と述べた。

 ロシアのプーチン大統領が6月に北朝鮮を訪問し、金正恩(キムジョンウン)総書記と「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだことが、今後の東アジアの安全保障にも大きな影響を与える可能性がある。

 首相は会談でこの点に触れ、「ロ朝首脳会談の結果は、わが国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点から深刻に憂慮すべきものだ」と強調。尹大統領は「東アジアはもちろん、グローバルな安全保障に深刻な懸念を呼び起こしている」と指摘した。

 首相は3月にNATOに加盟したスウェーデンのクリステション首相とも会談。ウクライナ情勢などについて意見を交わしたという。(ワシントン=笹川翔平、ソウル=稲田清英)

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