中古車販売大手の旧ビッグモーター(BM)の保険金水増し請求をめぐり、旧BMからの請求事案を調べていた大手損害保険4社が、7月上旬時点で約6万5千件を不正と判断したことが分かった。このうち旧BM側と請求額で合意し、問題を終結させた件数は約1700件(2.6%)にとどまる。旧BMの損害賠償などを担う存続会社による全件調査が遅れていることが要因だ。その存続会社がこのほど、全件調査を打ち切るとする通知を損保側に送っていたことも、明らかになった。
複数の損保関係者によると、存続会社は画像などから判断するのには限界があり「真に不正請求があったか否かを判定することが困難」などと理由を説明し、今後は裁判所での調停を通じて損保側と協議していく意向を伝えたという。被害の全容解明に向けた作業は不透明感が強まり、保険契約者の正確な被害額が分からなくなる可能性がある。
不正請求問題を受け、旧BMは2023年8月、弁護士からなる外部調査委員会を設置。同年11月から過去の請求事案の全件調査を進めてきた。今年5月には、伊藤忠商事などが旧BMを買収し、主要事業は新会社「WECARS(ウィーカーズ)」が継承。一方、全件調査を含め、一連の不祥事に伴う損害賠償への対応は旧BMの存続会社を「BALM(バーム)」と改称したうえで、同社が担うとした。旧BM社長の和泉伸二氏が社長を続けている。
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