迫力ある「牛の角突き」に登場する牛はアスリートのような筋肉質の体格をしている=2024年11月3日午後2時53分、新潟県長岡市の山古志闘牛場

 細かく刻まれた肉はツヤのあるピンク色で、かむたびに深みのあるうまみが染み出てくる。のみ込んでしまうのがもったいない。

 「山古志の闘牛ブレザオラのタルタル」。新潟市中央区のイタリア料理店で食べた料理の名前だ。

 1トンを超えるような雄牛が低く太い「ゴツン」という音を立て、頭からぶつかり合う新潟県の旧山古志村(現長岡市山古志地区)の「牛の角突き」。締まった胴、筋肉が盛り上がったもも。アスリート体形の牛が、こんなにおいしい料理になるなんて。衝撃だった。

 通常、肉牛は去勢され2、3歳で食用になる。一方、闘牛は去勢せず、長ければ15歳過ぎまで活躍する。筋肉質で硬くなり、脂身は少ない。骨も太く、食べられる部分が狭くなる。だから、けがをしたり闘争心を失ったりして引退した後は、細切れにしてひき肉の一部にしたり、飼料用に使われたりしてきた。

「アスリート体形」生まれ変わらせた熟成技術

「風と湿度の管理が重要です」と肉の熟成庫を紹介する和田亮さん=2025年7月22日午後1時35分、新潟市中央区弁天2丁目

 それを、逸品に生まれ変わら…

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