京都府と滋賀県が境を接する山の中に韓国系の禅宗寺院がある。本堂には1千枚以上の木牌(もくはい)が保管されている。旧日本軍の軍人・軍属として命を落とした、朝鮮半島出身者のものだ。
明治時代に開拓された京都府南山城村童仙房。人里離れた高台に、曹溪宗総本山高麗寺はある。第2次世界大戦で犠牲となった朝鮮半島出身の軍人や軍属、労働者たちを慰霊するため、韓国人の僧侶が半世紀ほど前に建立した。
釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を中心に、向かって左に普賢菩薩(ぼさつ)、右に文殊菩薩。金色の三つの仏像が鎮座する本堂の棚に、墨で名前が書かれた木牌が保管されている。
「河田清治 英霊」。旧日本陸軍の河田清治少尉のものだ。特攻隊戦没者慰霊顕彰会の会報「特攻」は、別の書籍を引用する形で河田少尉のことを紹介している。
B29に体当たり攻撃を仕掛け戦死
それによると河田少尉は19…