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「海軍史に興味がある人だけでなく、会社の経営者、高校のクラブのキャプテンといった様々な分野の組織のリーダーや、リーダーを目指す方にぜひ読んでほしい」と話す真殿総監=2025年7月31日、海自横須賀基地、土居貴輝撮影

 海上自衛隊・横須賀地方隊のトップ、真殿知彦・横須賀地方総監(59、海将)がこのほど、「提督の決断 東郷平八郎と山本五十六の光と影」(三和書籍)と題する新著を出版した。戦後80年の今年。旧日本海軍を代表する提督を軸に海軍史をたどりながら、戦争に至った分岐点や戦史の重要な局面を読み解き、組織を動かすリーダーに求められる資質を問うた一冊だ。

 「対米戦争に反対だった海軍が、1~2年であっという間に(太平洋戦争に)突き進んでしまったのはなぜなのか。当時の海軍のリーダーたちがなぜそう決断をしたのか。レベルは全然違うが、私も幹部自衛官として大きな部隊の指揮を任され、日々決断を求められる立場として、ものすごく興味がありました」。真殿氏は執筆の動機をそう語る。

 新著で、明治から昭和にかけての日本海軍の歴史をたどりつつ、東郷平八郎、山本権兵衛、加藤友三郎、山本五十六ら海軍を率いる立場にあった「名提督」を取り上げた。人物像を描きつつ、日露戦争、1920~30年代初めにかけての二つの海軍軍縮条約、太平洋戦争の開戦と終戦など、海軍にとって、日本にとって重大な局面で提督たちがくだした「決断」に焦点を当てた。

 加えて、幹部自衛官として自身の経験を織り交ぜながら、「判断」と「決断」の違いに焦点を当て、「実践的なリーダー論」としての読み物に仕上げることも意識した。

リーダーにとって最も重要な仕事

 「過去の経験値やデータを分…

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