世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求をめぐり、東京地裁が解散を命じる決定を出した。宗教学者で東大名誉教授の島薗進さん(76)は、教団による被害がここまで深刻化・長期化した背景を再度洗い直す必要がある、と話す。
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地裁の決定は妥当だ。争点だった「組織性、悪質性、継続性」をいずれも認めた。教団が信者に法令順守を促すとしていた2009年の「コンプライアンス宣言」以降も問題が続いていると言及し、少なくとも1980年代から現在まで、看過できない被害が継続していると認めたことは大きい。裁判外の示談も、民事裁判で認められた不法行為と同等に被害として扱った点も注目すべき点だ。
国家による宗教への不当な介入との声もあるが、宗教法人法の目的から逸脱した団体に対し、法人格を失わせる「解散」を命じるのはやむを得ない判断だ。結社、信教の自由にまで踏み込んだ決定ではない。
ただし、地裁決定はあくまで…