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木下佳通代が亡くなる前年の1993年に描いた絵画。展覧会場は自由に撮影できる
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 美術家が亡くなってから作品が評価されることは珍しくないが、大阪中之島美術館(大阪市北区)で開催中の「没後30年 木下佳通代(かずよ)」展もそのきっかけになるかもしれない。がんのために55歳という若さでこの世を去ってから30年。美術館では初の個展だ。約130点が並ぶ会場を巡ると、写真から絵画へと手法を変えながら制作を続けてきた木下の熱量に圧倒される。

 1939年、神戸市生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)の西洋画科で学んだ。今展では、作品が年代順に並ぶ。60年代には河口龍夫や奥田善巳らによる前衛美術集団〈位〉と活動を共にし、70年代には写真を用いて視覚と認識のズレを示すといったコンセプチュアルな作品を発表した。洗練された表現は当時から評価が高く、81年にはドイツのハイデルベルクで個展が開催された。

 だが、この展覧会を見応えの…

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