東京六大学野球の春季リーグ戦第6週は19日、神宮で2回戦2試合があり、早大の伊藤樹(4年、仙台育英)が明大戦で、2016年秋以来となるリーグ25人目26度目の無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成した。
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落とせない試合 11奪三振の快投
早稲田大のプロ注目投手、伊藤樹(たつき)(4年、仙台育英)が、明治大との2回戦で無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成した。
先勝した明大に連勝を許すと、その後に行われる「慶応大―法政大」の結果次第では、明大の優勝が決まる一戦だった。
伊藤樹は一回の先頭打者にいきなり死球を与えた。二回にも2四死球。やや不安な立ち上がりだったが、「序盤に悪いのはいつものことなので」と意に介さなかった。
三回以降は、変化球に的を絞ってきた明大打線に対して、140キロ台後半の直球で押した。106球で九回を無安打無失点。三振を11奪い、三塁を踏ませぬ快投だった。
ただ、一方の早大も明大の継投策の前に八回まで無得点。九回の攻撃を前に早大の小宮山悟監督が、円陣の中で選手に伝えた。「サヨナラで勝てば、もれなくノーヒットノーランもついてくる。ちゃんとやれ」
好守の寺尾がサヨナラ打
九回の守備で左翼への大飛球を好捕した寺尾拳聖(3年、佐久長聖)が、無死二、三塁から左翼線へ適時打を放ち、両チームゼロ行進の熱戦に終止符を打った。
早大の投手がノーヒットノーランを達成するのは、2013年春の高梨雄平(現巨人)以来2人目の快挙だ。だが、伊藤樹は「サヨナラのときは、ノーヒットノーランのことより、点を取ってくれの一心だった」と振り返る。
依然として明大が優勝に近い状況に変わりはない。それでも、わずかながら優勝の可能性を残す早大。この快挙が大逆転劇を呼び込むきっかけになるか。