シンポジウムには再調査委員会委員長で教育評論家の尾木直樹さん(左)も出席し、「学校がいじめでなくトラブルととらえ、最初の出だしを間違ってしまった」と振り返った=2025年7月12日午後4時30分、東京都国分寺市南町、狩野浩平撮影

 北海道旭川市で4年前に広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が自殺したいじめ問題で、この件を調査した委員らが集まるシンポジウムが12日、東京都国分寺市の東京経済大学で開かれた。委員らは自殺を防げなかった要因として学校や警察などの連携不足を挙げ、「多機関連携が重要だ」と話した。

 委員らによると、広瀬さんは2019年6月に性的な画像を要求されるなどのいじめを受け、自殺未遂をした。警察の事情聴取では「嫌なことがあると忘れることにしている」「そういわれれば写真を送った気がする」などと話していた。しかし警察からの情報共有は断片的で、学校や市教育委員会は広瀬さんがいじめの苦痛を感じていない、と誤って理解したという。

 委員らは、被害の訴えがないと誤解した学校や市教委が、自殺未遂は家庭の問題なのではないかと考えるようになったと指摘。野村武司・東京経済大学教授は、犯罪捜査といじめ対応は別の論理があるとした上で「警察の事情聴取は、事件性の有無を確認し、捜査を終わらせるためだったとしか思えない。それが学校のいじめ認定に影響したことが大きな問題だった」と話した。

 シンポジウムは一般社団法人「子どもいじめ防止学会」の設立記念大会の一環で、全国から教育、医療、司法などの関係者が集まった。調査委員の一人で心理学者の仲真紀子・北海道大学名誉教授は、「学校や警察、児童相談所や医療機関など、多職種が共同で参加できる研修があると良い」と話した。

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