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 七宝や金工の細密で精緻(せいち)な装飾。野菜や果物そっくりの象牙の彫刻。近年注目されるようになった技巧派の明治工芸だが、この人がいなければ、今も光が当たらないままだったかもしれない。

むらた・まさゆき 2024年12月12日死去(病死) 74歳

 電子部品メーカー、村田製作所の創業者の次男で、元専務。同社に勤めていた頃、米国出張の帰りに立ち寄ったニューヨークの古美術店で、蒔絵(まきえ)の印籠(いんろう)の美しさに心を奪われた。

 幕末~明治の美術工芸品の多くが海外に流出していることを知り、少しずつ買い集めるように。1998年に会社を辞め、2000年には京都・清水寺の参道沿いに、収集品をもとにした清水三年坂美術館を開館した。

 「村田の父をはじめ、みんな…

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